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航海記

釜山航海 本編 博多~釜山 2007年8月11日〜12日

写真ついに釜山行きが目前に迫ってきました。 仕事の合間に、必要な手続きなどについて情報を集めます。 最初にチェックしたのは、ヨットレースなどで韓国側とも交流があり、レースの主催者としてレース参加艇の手続きなどの経験が豊富なJSAF外洋玄海のWebサイトです。 

 

1)JSAF外洋玄海のWebサイトから得られる情報をダウンロードします。

2)わかる範囲で記入します。

3)入管、税関、検疫、保安部の関係部署に航海の計画と手続きについて確認します。 この確認がとても重要です。 限られたスケジュールで航海をしなくてはならない現役世代の場合には、手続きの不備により足止めを余儀なくされることは航海の中止にもなりかねません。FAX等で下書きを送り、チェックしてもらいましょう。

4)韓国側の関係機関へこちらからアポ取るのは、難しいです。 あちらのヨット協会へ入出国手続きの代行をお願いします。 もし、商船の代理店などに依頼した場合、数倍の手数料が発生します。 バースの予約もお忘れなく!

5)キャプテン、以下クルー全員のパスポートのチェック⇒クルーリストの作成。

書類は、変更があるかもしれないので、日付などを空欄にして多めに印刷しておきます。

参考までに作成した文書とエクセルファイルを公開します。 航海終了から、数年経過していますので、必ず最新の申請情報を入手してください。

PDF計画書 身内用

PDF関係連絡先

Exel各種申請書

 

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8月11日の天気図 イヤな熱帯低気圧が台湾の北にいます。

8月9日午前中 オーナーとオーナーの友人のNさんが先行して小戸ヨットハーバーに到着です。 オーナーに買い出しや燃料補給までさせてしまい申し訳なかったです; これも現役世代が限られた航程で計画を実行するには仕方ありません。 私は、私ができることを精一杯するだけです。

 

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午後以降、各地から参加者が小戸ヨットハーバーに集まります。

22時過ぎに東京から参加のYMさんが着いたところで、ミーティングです。 にわか仕立てのメンバーなので、簡単に航程の説明と役割分担をお願いします。 そして、本編にかかるすべての費用を割り勘にします。 ここまでの回航に必要な係留費や燃料代などは、すべてオーナー負担; せめて本編だけは割り勘にさせてもらいます。 1名4万円 片道2万円です。

民生用LCDなので、夜間は明るすぎて困ります。 今回は、初日の早朝のみ暗い時間帯に航行しますが、あとはすべて昼間なのですべて仮付けの表示部です。

明日は、早朝4時の出航なので早々に仮眠を取ります。

電子海図スクリーンショット

2007/08/11 04:00 小戸ヨットハーバーを出港します。

熱低の影響はあまり感じられませんが、この先必ず影響がありそうです。 

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博多ポートラジオをVHFで呼んでみる。

入港中のフェリーありとのこと、AIS情報も確認してもらいます。 ポートラジオは、港湾管理者(自治体)が運営している公共的な海岸局です。 普段は、船と船舶代理店などの陸上の情報を中継するような通信が多いのですが、港周辺のトラフィック情報などは、商船でなくても提供してくれます。 実は、知人がこの無線局に勤務されているので、いるかな? って思ったのですが、出番ではなかったようです。 T信号Hさんお元気ですか~?

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夜が明けて、風もなくひたすら対馬を目指す。

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私の釣りの師匠が、活動開始です!疑似餌をセットして船尾から流します。うねりがそこそこ入ってきて油断すると気持ち悪くなりそ~  

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なんかアッサリ釣れてしまいました! 

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手頃なサイズをおろして刺身にしました。 味は、脂気のないハマチみたいな感じです。新鮮なうちは、生で十分いける味でた。 

さっきまで見えていた壱岐がもう見えなくなりそうです。 

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ようやく対馬が見えてきました。大きな島で、端っこが見えません。  

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13:00 対馬厳原港に入港します。  

電子海図スクリーンショット

港奥のガソリンスタンド前の岸壁に着桟します。 向こうに見えている6階建ての建物が合同庁舎です。 税関、入管、検疫(日本入国時)、海上保安部はこの建物に入っています。 

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厳原では、ちょっとした買出し、給油はOKのようです。 お風呂屋さんは無いみたいです。 ここからは、Feast2も外航船に資格変更して国旗を船尾に取り付けます。

どこかのWebに給油をしたらお風呂みたいな情報がありましたが、現地で調べてみるとそのお風呂は、漁師さんむけの限定的なサービスで一般の利用は原則ないそうです。
 

ヨットで出国する場合の注意!!
事前に必ず、関係機関へ電話で相談しましょう。 厳原の場合、韓国からの定期船が発着しているので、土日でも定期船の処理直後であれば手続き可能です。 このあたりの調整をやっておけば、全ての手続きに30分もかかりません。 調整していないと、足止めを余儀なくされるので、時間に余裕の無い方は必ず事前に調整をしましょう!帰りに必要な海上保安部への保安情報は、出港時に出しておきます。 検疫への入港通報もです。 通信手段が限られている船上では、24H前にFAX入れることは難しいですから。 途中変更があれば、電話を入れる必要があるので、保安部、税関、入管、検疫の電話番号は事前にゲットしておきましょう。

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今日は、日曜日なので先発の釜山行きのSEA FLOWER この船が出発後、出国手続きと、通関手続きをします。 韓国から対馬へは、この船で毎日200人ほどの観光客が来るのだそうです。 確かに、町の商店には、ハングルが目立ち、韓国語もあちこちから聞こえてきます。 なんだかもう韓国に来たような雰囲気。。。。

ちなみに対馬北部の比田港にも、週に何度かフェリーが入港するので、そのつど入出国関係の職員が出張しているそうですが、ヨットが出国手続きできるのは原則厳原港とのことです。

AIS積んでいました。

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さぁ私のお仕事です。 まず、閉庁日の合同庁舎へ向かいます。税関と入管を訪ねて事前に連絡しておいた者であると伝えて、手続きをお願いします。 税関は、書類申請のみでOK。入管は、船内で書類の確認とパスポートの確認をします。 出国後、みだりに上陸してはいけませんと釘をさされる。 アンカーも基本的にはNGと・・・ でもアンカーするので、その旨は口頭で伝えておきました。 そして海上保安部へ行きます。 出国手続きには関係ないのですが、帰国するときに日本領海に入る24時間前に保安情報というものをFAXする必要があります。 韓国からFAXできないとマズイので、出発のときに手渡ししておきます。 あと大体の行動予定とコースなども事前に知らせておきます。

諸々2時間ほど留まって、コンビニ行ったり港周辺を散策、イカの一夜干しをゲット・・・

 

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15:00厳原港出港です。

電子海図スクリーンショット

対馬に沿って北へ約10NM 浅茅湾につながる万関瀬戸の入り口が見えてきます。 

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16:30 万関瀬戸の東側の三浦湾へ入ります。

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16:48 万関瀬戸へ入ります。  

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瀬戸の中央部は人工的に掘削した感じがそのまま海底まで続いている様子が上から見えます。 元は陸続きだったとは・・・・

電子海図スクリーンショット

この航海の時には、対馬中央部のENCは刊行されていませんでしたので、対馬中央部の紙海図を購入しました。

2009年7月現在は、JP54NM0L 1/6600で万関瀬戸は収録されています。 浅茅湾内も、JP44NM0Lで1/30000でカバーされています。  

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静かな湾内   

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まるで池のよう・・・   

電子海図スクリーンショット

アリランレースの参加経験のある人から竹敷錨地のブイに舫ったという情報があったので行ってみたのですが、これだけアンカリングスポットがあるのにわざわざ舫うようなものでもなく、スルーして今夜の錨地を探します。 

電子海図スクリーンショット

紙海図には、湾の名前まで出ていませんでしたが、ENCには大平浦とあります。 ドン深なのですが、深すぎてもアンカーしにくいので結構悩みます。 水深が8~10mほどのところでアンカーレッコです。 ドボ~ン ガラガラガラガラ・・・ 50mのチェーンが全部出きってしまいます。 ウインドラス(錨の巻き上げ機)が不調なので、明日の朝が大変です。 

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先ほど、シイラ漁を指揮していた私の釣りの師匠Yさん。実家は、網元!アンカーするとすぐに仕掛けを用意してイカ釣りを始めました。 釣れるんかいな?  ・・・ 釣れちゃいました。さすがです。 この場所の事前情報など一切なしで、速攻です! 

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夕食は、現地調達のシイラのみりん干し、アオリイカの刺身、近くの岩場で獲った貝、厳原で買ったイカの一夜干しです。

夜は、人口光がまったく視界に入らず、漁船の音もしない自分たちの音以外人工的な音や光がまったくない、ちょっと怖いくらいでした。

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2007/08/12の天気図です。

トホホな天気。

行くのか? 帰るのか?

電子海図スクリーンショット

船長判断は、条件付き出港。

07:15 抜錨 

50mのアンカーチェーンを、デッキに並んだクルー全員で引き上げる。この段階で、東京から参加のYMさんは体力の限界? ここで快調だった発電機が不調になる。

ECSの電源を軸発電に切り替えて再起動。 

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対馬海峡に出ると、2~3mのうねりがあるも、追っての風で問題なく走れる。

波がしらの中から無数の小トビウオが飛び出してくる。 風に乗って見えなくなるくらい飛んでいます。

VHFからは、ハングルが常時入ってきます。

携帯電話の電波は、厳原を出てすぐにソフトバンクがアウト! auとdocomo FOMAが浅茅湾までOK 浅茅湾を出てしばらくしてアウト、一番のびたのは、docomo movaです。800MHz帯のせいだと思うのですが、良く飛んでいました。

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お昼前には、釜山の街並みがはっきりと見えるようになりました。

風は、追手で7~8m 波も追手で2~3mです。

FEAST2 ..E.ST2 This is KOREAN SAILING..... 何やらVHFで呼んできています。 船長が応答すると、本日お世話になる釜山のヨット協会の方からです。着時刻を聞かれて、13時過ぎにつく旨返信します。どうやらFEAST2の搭載しているAISのメーカーのSARACOM社の柳さんがAISをモニタして協会に電話をしてくれたとのことです。

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もうヨットハーバーは目の前です。 追っての波は、水深が浅くなるにつれ高くなり波長も短くなってきます。 おまけに港の入り口は、波を避けるために突堤が出ていて船は、回り込む形でアプローチします。 失敗したら、大変なことになります。 

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電子海図スクリーンショット

とうとう来てしまいました! 最後のアプローチでは、一瞬ドキッとしましたが、船長の思いきりのイイ操船で安全に入港しました。 ここで抜錨作業でダウンしたYMさんが起きてきました、デッキに出たらそこは、もう韓国(^o^)/~

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SARACOMの柳さん(写真一番左)うれしいんですけど、サラコムへようこそ!って~もう; 韓国っぽいノリで思わず笑ってしまいました。 

右からソフト屋さんのYMさん、オーナーの友人のNさん、私の友人のOさん、私、Iオーナー、釣りの師匠のYさんです。

ヨットハーバーは、釜山の少し東にある海雲台(ヘウンデ)というところにあります。高層マンションが立ち並び、リゾートっぽいスポットもたくさんあります。 釜山に住む人は、ここのマンションに住むのがステータスだそうです。

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今回、色々とお世話になった金さん(写真左)、私の仕事の関係で知り合った方で大して貢献できていないのに、色々とお世話になりました。特にマリーナの手配から、検疫や税関のハンドリングもヨット協会へ手配してくれました。 そのあたりの連絡先は、

Korea Offshore Sailing Federation

TEL+82-51-743-1454

FAX+82-51-743-1455

Web http://www.kosf.or.kr

CIQハンドリングチャージ W200,000-

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そうこうしていると、まずは検疫官が乗船してきます。 あらかじめ用意しておいた明告書とクルーリストを提出しますが、どうやら明告書のフォームが変更になっているようです。差し出された書類に書き直しです; 続いて、通関手続きです。 課税される搭載品は無いので、書類のチェックと口頭による確認のみですぐに終了です。

まだ入国手続きが済んできません。 船を固めて、金さんと柳さんの車に分乗して釜山港の入管へ車で移動します。 韓国では、タクシーがめちゃくちゃ安いですので、釜山市内を移動するには、タクシーをおすすめします。

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高速道路から見たヨットハーバー

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ヨットハーバーから車で20分ほどのところにある、韓国入管です。すぐ横には、ジェットフォイルやフェリーの国際ターミナルがあります。

各自審査を経てパスポートの入国欄にスタンプをついてもらいます。 私は、船の運航管理と入出国手続きのすべてを受け持っていたので、まずは往路の役割は なんとか果たしました。 書類の作成や各申請は、事前に確認と準備さえしておけば、誰にでもできることでした。

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到着の1泊だけホテルに泊まります。 ヨットハーバーから車で10分SEACLOUD HOTEL(海sea 雲cloud) 1泊 W140,000-(税別) ツインルームのシングルユースめちゃくちゃきれいなホテル! 朝食も付いています。 Webで予約もできますが、キャンセルのリスクが大きいので、今回はSARCOMさんに予約してもらい、もしキャンセルが決まったら最小限のキャンセル料で済むようにしました。

空は曇天、海はコーヒー牛乳みたい

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初日の夜は、金さんの案内で焼肉です。 お店の名前は、よく覚えていないのですが、やたらうまかったことだけは覚えています。 ここで、日韓の風習の違いというか驚くことの連続です。

やたらお給仕のおばちゃんがウロウロしていて、肉を切ったり小皿料理を持ってきたりとお世話してくれるのですが、すべて立ったまま上からきます。肉を包んで食べる野菜系は無料なので、無くなるとすぐに次がきます。 食べきれないほどの小皿が並びます。 こっちは残さないように一生懸命食べますが、韓国では客人が食べきれない量を出すのが礼儀だそうで、抵抗しても無駄でした;

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金さんの手配でバンさんが通訳で色々説明してくれます。 地元の人は、ししとうの様な青唐辛子を食べるときに、先っぽは残すそうです。何故? 農薬を散布したときに、農薬が滴って先の方に濃く残るから・・・・とか; そういう感覚の多くが、日本人とは全然違うのでしょうね~。 カルビは、食べやすく切り目が入れてあり薄くそぎ切りにして端の骨にクルクル巻きつけた状態で出てきます。味は付いていて、柔らかくとてもおいしい! 緑色の爪楊枝は、でんぷんで出来ていて残飯を豚の餌にしたときに、豚を傷つけないようにしているそうです。 最近は、日本でも見かけますね。

 

このあと、アカすりに行く者、射撃に行く者、それぞれ釜山の夜を楽しみました。

翌日、師匠は片道参加なのでジェットフォイルで福岡経由の大分県臼杵市へ帰省されました。 YMさんは、往路でギブアップ空路で帰国されました。

明日は、給油や出国手続き、不調の発電機の修理やら色々とやらなくてはいけないことがあります。 

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