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電子チャートの種類
電子チャートの種類10
(財)日本水路協会は、航海用電子海図の搭載要件に関するドキュメントの和訳版をリリースした。 このドキュメントから海図の権利関係が複雑に絡み合っていることが垣間見える。また、いわゆるENCと呼ばれる公式の電子海図の他に様々なベクターチャートやラスターチャートが存在する。 海図の権利関係は国によって様々で米国などは、税金で整備された著作物は基本的にフリーらしい。 日本は、フリーのものばかりでは無い。 では、使用料を支払えば2次加工が自由にできるかといえばそうでもない。 海外には、いくつもの規格の私製電子チャートが存在するのは、2次利用が開かれているからだろう。 日本はといえば、○○チャート、海岸線データ、PEC,ERCどれも見ただけでショボイ電子参考図だ。 だから使う側も気を付ける。 見知らぬ港に、これらの簡易チャートでアプローチする馬鹿はいない。 ところが、海外製の電子チャート商品は違う! ものによっては、あたかも海図のように深度や灯質などの表示もあり、これで航海できそう! と思わせてしまう。 大型船が使用するECDIS上に表示されるチャートは、公式電子海図とは限らない、C-MAP CM93もその一つ。ECDISに表示れたC-MAP CM93とIHO ENC S-57を見分けられる人は相当のマニアだ。 C-MAPは民間の会社が勝手に独自の基準で作成した電子参考図、でも見た目は電子海図。 プロでもこの電子参考図を航海に使ってしまっている。 そして重大な事故になりかけた事例も報告されている。
記事後半
そんなC-MAP社は、商売上手ではあるが、もうひとつお行儀がよくない。 各国が血税を費やして測量したデータから作られた海図情報を刊行国の許可なく私製電子海図にしている。 日本では、民間が自由に海図情報の二次利用ができないルールがあり、お行儀の良い企業はちゃんと守ってショボイ電子参考図を使っている。 一方で、C-MAP社は、日本の海図を勝手に私製電子チャートにして世界中で商売をしている。 おかしな話だ。 機器の性能は日進月歩、GPSプロッターでもそこそこの情報は処理できる。 ショボイ参考図では、物足らなさを感じるのはユーザーだけでは無い、メーカーもしかり・・・。 そんな中2007年に国内F社よりGP-7000という商品が発売された。 商品の写真を見ると、なんと画面に海図っぽいものが表示されているではないか!? そのようなことが現行ルールの中でできるのだろうか? 調べてみると、このチャートはF社が(財)日本水路協会からERC(電子参考図)の版権を買い、そのデータをC-MAP社に渡しC-MAPのデータとハイブリッドにしたものだという。本当にそうなのだろうか? C-MAP社はこれまでも遠慮なく我が国の海図を無断で電子化している。 当然、相当の情報を既に持っているのである。 いまさらERCの情報などなくてもGPSプロッターで使用するデータは持っているのである。 国内のメーカーが堂々と国内向けの商品に深度が入った海図もどきの情報を表示する製品を売り出したのだ。 こんなことが通るのだろうか? F社といえば、国内シェアではかなりのもので、海上保安庁にも多くの製品を納入しているメーカーだ。 そのメーカーが背に腹は代えられぬと、マネーロンダリングならぬチャートロンダリングをしているのだ。
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